12月に入ると、クリスマスの飾りを出して、すぐにまたお正月の準備。
花まで季節ごとに買い替えるのは、なかなか大変ですよね。
お部屋にある胡蝶蘭を、そのまま年末年始の主役にしてみませんか。
鎌倉でフラワーデコレーターをしている桐野美沙です。
この記事では、白い胡蝶蘭ひと鉢を、まわりの小物だけ替えてクリスマスからお正月まで楽しむ方法をお話しします。
冬に花を傷めない置き場所もあわせてご紹介しますね。
ひと鉢を「着せ替える」という考え方
花はそのまま、まわりだけを入れ替える
私がこの時期にすすめているのは、胡蝶蘭そのものには手を加えず、鉢カバーや足もとの小物だけを替えるやり方です。
人でいえば、同じワンピースにストールやアクセサリーを足して、昼と夜で雰囲気を変えるような感覚です。
胡蝶蘭は花持ちがよく、元気な株なら1か月以上咲き続けてくれることも珍しくありません。
12月の初めに迎えれば、クリスマスを過ぎてお正月まで十分にもちます。
花を買い替えなくていいので、飾りに使うお金と手間をぐっと減らせます。
白い胡蝶蘭がいちばん着回しやすい
これから迎えるなら、白い胡蝶蘭が断然おすすめです。
クリスマスの赤と緑にも、お正月の紅白や金にも、白ならそのまま合わせられます。
ピンクも華やかで素敵ですが、お正月に紅白を組みたい場合は、白のほうが色がまとまります。
すでにピンクの胡蝶蘭がお家にあるなら、お正月は金と緑を中心にすると落ち着きます。
着せ替えのカレンダー
ひと鉢で二つの季節をまたぐので、切り替える日をあらかじめ決めておくと迷いません。
私の家では、だいたい次のような流れにしています。
| 時期 | しつらえ |
|---|---|
| 12月上旬〜25日 | クリスマスのしつらえ |
| 12月26日〜28日 | お正月のしつらえに着せ替え |
| 元日〜松の内 | お正月のしつらえ |
| 松の内が明けたら | 普段の飾り方に戻す |
正月飾りは28日までに整えるのが一般的で、29日と31日は避けるという家庭も多いです。
クリスマスが終わったら、大掃除のついでに着せ替えてしまうのがいちばん楽です。
松の内は、関東では1月7日、関西では1月15日までとされることが多いようです(お正月はいつまで 関東と関西で期間が違う?)。
お住まいの地域の習わしに合わせてくださいね。
着せ替えに使う小物は、12月の初めにまとめてそろえておくと慌てません。
私が毎年用意しているのは、次のようなものです。
- 深い赤のベルベットリボン(1mほど)
- 木のトレーと、白木の敷板か漆のお盆
- 松ぼっくりと、ヒムロスギなどの小枝
- 軽い小さなオーナメントを1〜2個
- 紅白や金銀の水引
- 枝ものを生ける小さな器
どれも100円ショップや花屋さんで手に入るものばかりで、水引と敷板は翌年も使い回せます。
クリスマスのしつらえ
鉢カバーと足もとで季節をつくる
クリスマスらしさは、鉢まわりの色と素材で出します。
深い赤のベルベットリボンを鉢カバーにひと巻きするだけで、白い花がぐっと冬の顔になります。
鉢カバーそのものを替えるなら、ブリキやマットな深緑の陶器が合わせやすいです。
足もとには木のトレーを敷いて、松ぼっくりやヒムロスギの小枝を2〜3本添えます。
ここで気をつけたいのは、枝ものを鉢の中に挿さないことです。
植え込み材の水苔に挿すと、根を傷つけたり、湿った枝が蒸れのもとになったりします。
添えるのは、いつも鉢の外側にしています。
オーナメントは支柱に、花茎には何も掛けない
小さなオーナメントを飾りたくなる気持ち、よくわかります。
ただ、胡蝶蘭の花茎は見た目より細く、重さがかかると曲がったり折れたりします。
花がたくさんついた先のほうは、とくにデリケートです。
オーナメントを使うなら、花茎を支えている支柱の根もとか、鉢カバーの縁に。
直径2〜3cmほどの軽いものを、1〜2個にとどめるくらいがちょうどいいです。
飾りを足しすぎないほうが、胡蝶蘭の白がきれいに引き立ちます。
灯りは花から離して
夜のしつらえに灯りがあると、雰囲気がまるで変わります。
使うならLEDのガーランドライトにして、花や葉に直接触れないよう少し距離をとってください。
キャンドルは火と熱があるので、胡蝶蘭の近くには置かないことにしています。
私はトレーの奥にガラス瓶を置き、その中にガーランドを丸めて入れています。
花の後ろからやわらかく光が当たって、白い花びらがほんのり透けて見えます。
お正月への着せ替え
12月26日、片付けついでに衣替え
クリスマスが終わったら、リボンとオーナメント、ガーランドを外します。
このとき、葉の表面をやわらかい布で拭いておくと、新年を気持ちよく迎えられます。
ヒムロスギの小枝は、緑が残っていればお正月にもそのまま使えます。
水引と松で、白い花を紅白にする
お正月のしつらえで私がいちばんよく使うのは、水引です。
紅白や金銀の水引を、鉢カバーにぐるりと巻いて、正面で蝶結びや淡路結びにします。
これだけで、白い胡蝶蘭が一気にお正月の顔になります。
結び方に自信がなければ、すでに形に結んである水引飾りを使えば十分です。
細いワイヤーやマスキングテープで鉢カバーの正面に留めれば、見た目はほとんど変わりません。
足もとには、小さな器に生けた若松や南天、千両を添えます。
ただし、生の枝ものや果物は、胡蝶蘭のすぐそばには置かないようにしてください。
理由は、このあとの章でお話しします。
敷板やお盆で、床の間のような格を足す
木のトレーを、白木の敷板や黒い漆のお盆に替えると、ぐっと改まった雰囲気になります。
鉢カバーを和紙や半紙でふんわり包むのも、手軽でおすすめです。
床の間がなくても、玄関の棚やリビングのサイドボードに敷板を一枚置けば、そこがお正月の小さな飾り場になります。
年始に人が集まるお家なら、目線の高さに近い場所に置くと、会話のきっかけにもなりますよ。
年末年始に花を傷めない置き場所
夜の窓辺は思っているより冷える
胡蝶蘭は寒さが苦手です。
三重県の園芸の管理方法でも、晩秋から春は暖かい室内に置き、レースのカーテン越しの光に当てて10℃以上を保つよう案内されています(ファレノプシス(胡蝶蘭)|三重県)。
昼間は明るい窓辺でも、夜になるとガラスの近くはぐっと冷え込みます。
私は日が暮れたら、鉢を部屋の内側へ50cmほど移すようにしています。
窓辺に小さな温度計をひとつ置いておくと、判断がぐっと楽になります。
寒い朝、起きてすぐに窓ぎわの温度を見て、10℃を下回っていたら、その場所は夜の置き場所には向かないということです。
海に近い鎌倉の家でも、真冬の朝は窓ぎわが一桁まで下がる日があり、温度計を置いてはじめて気づきました。
とくに気をつけたいのが、帰省や旅行で家を空けるときです。
暖房を切った部屋の窓ぎわに置きっぱなしにすると、数日で花がしおれてしまうことがあります。
出かける前に、部屋のいちばん奥や、冷えにくい場所へ移してあげてください。
果物かごと切り花に気をつけて
年末年始は、お歳暮の果物や鏡餅のみかん、お正月の生け花など、家の中に植物や果物が増える時期です。
じつは、この組み合わせが胡蝶蘭にとっては油断できません。
果物や切り花からは、エチレンという成分が出ています。
福岡県の研究では、胡蝶蘭はごく微量のエチレンでも花がしおれたり葉が黄色くなったりし、15℃未満の低温でも同じような傷みが出ると報告されています(福岡県農林業総合試験場の研究成果)。
果物かごやりんごは、胡蝶蘭とは別の部屋か、少なくとも離れた場所に置くのが安心です。
お正月の生け花を添えるときも、鉢と並べてくっつけず、少し間をあけて、ときどき換気をしてください。
水やりは控えめに、暖かい午前中に
冬の胡蝶蘭は、成長がゆっくりになって水をあまり吸いません。
植え込み材の奥まで乾いているのを指で確かめてから、2週間に1回ほどを目安にあげます。
水やりは、部屋が暖まっている午前中に済ませるのがおすすめです。
夜に冷たい水が鉢に残っていると、根が冷えて傷みやすくなります。
受け皿にたまった水は、その都度捨てておきましょう。
年末の忙しさで水やりを忘れても、胡蝶蘭は乾燥には強い植物です。
あげすぎるよりは、少し忘れるくらいのほうがうまくいきます。
松の内が明けたら
普段のしつらえに戻す
松の内が明けたら、水引や松を外して、いつもの鉢カバーに戻します。
外した水引は、きれいに伸ばして箱にしまっておけば、来年もまた使えます。
普段の飾り方は、ナチュラルなかごや素焼きの鉢カバーで、すっきりまとめるのが好きです。
飾る場所のヒントは、インテリアに映える胡蝶蘭の飾り方5選でもご紹介しています。
花が残り少なくなったら、次の春の準備を
1月も半ばを過ぎると、花がひとつ、またひとつと落ちはじめます。
三重県の管理方法では、花が残り2〜3輪になったら、花茎を元から切らずに下から2〜3節を残して切ると、二番花を楽しめると紹介されています。
祖母から譲り受けた私の一鉢も、こうして毎年冬を越してきました。
年末年始をいっしょに過ごした胡蝶蘭が、また次の季節に咲いてくれると、なんだか家族が増えたような気持ちになります。
まとめ
ひと鉢の胡蝶蘭で年末年始を楽しむポイントを、おさらいします。
- 迎えるなら、紅白にも赤と緑にも合わせやすい白い胡蝶蘭を選ぶ
- クリスマスは鉢カバーと足もとで季節をつくり、花茎には何も掛けない
- 12月26日〜28日に、水引と松でお正月のしつらえへ着せ替える
- 夜の窓辺と、暖房を切った留守中の冷え込みに気をつける
- 果物かごや切り花は、胡蝶蘭から離して置く
- 水やりは乾いてから、暖かい午前中に
花を何度も買い替えなくても、まわりの小物を替えるだけで、季節の移ろいは十分に楽しめます。
今年の年末は、ひと鉢の胡蝶蘭といっしょに、ゆっくり新しい年を迎えてみてくださいね。





